長年続けている行事のひとつに、「やまはげ来園」があります。
男鹿のなまはげは全国的にも有名ですが、当園には、1月になると下浜の八幡神社から、やまはげがやって来ます。
毎年、4体ほどの大きなやまはげがどこからか現れて、園のホールで大暴れ。
遊んでいた子ども達は、血相を変えて泣き叫びながら担任の下へ走り寄ります。
ある人は、部屋の隅に隠れ、ある人は逃げそびれてホール内をおたおたし、「こっち、こっち!」と先生に手招きされてそこにいるかたまりの中にもぐり込みます。
私達職員はこの日のために、やまはげさんにちょっと戒めてほしい園児の名前をあらかじめお伝えしておきます。
すると当日やまはげさんから
「いちご組の〇〇いるが―っ?!」
ともの凄い声でご指名があり、震え上がる本人の至近距離で
「ちゃんと給食、食べでらがあっ?!」
「野菜、残してねがあぁっ?!」
「友達さ意地悪してねがあぁあっ?!」
などと問いただされ、口答えなどしようものなら、抱き上げられて、連れて行かれそうになったりします。
ひと通りこのパフォーマンスが終わると、最後は「みんないい子だ」ということで、やまはげさんと写真撮影をして、めでたしめでたしです。
その後しばらくは、みんなお行儀よく給食を食べ、お友達とおもちゃを分け合ったりと、態度が一変するのが面白いのですが、効き目は10日ぐらいがいいところ。
それでも忘れた頃に、
「あー、いつまでもそんなことしてるんなら、やまはげさんに電話する」と担任に言われ、
「いやだ! いやだ! ちゃんとする!!」とあわてふためくこともしばしばです。
この世には絶大な力を持つ何かがいて、私達はいつも遠くから見られているんだという漠然とした思いを持つことは悪くないのでは?
やまはげの世界も高齢化が進み、後継者が減ってきているのだそうです。
こうした伝統行事・文化は何とか続けられていくといいなぁと思います。