第75回:9年ぶりに。

やまばと保育園 園長 大友潤一
イラスト:子どもと保育士

私がコラムに寄稿するのは2回目となります。

前回は9年前の2011年2月。

読み返してみるとその年は大雪だったんですね。

異常気象なのか地球温暖化の影響なのか、今年はただの1回も除雪作業をしていません。

腰の悪い私にとってはとてもありがたい冬です。

こういう話になると、雪が無くて子どもたちは雪遊びが出来なくて可哀想とかいう方がいらっしゃいますが、子どもたちはどう思っているのでしょうね。

雪がたくさん降ったからといって、毎日毎日外で雪遊びしたいと思っているのでしょうか。

子どもは風の子元気な子と、私が子どものころは言われていましたが、それは大人が勝手に決めつけていただけですよね。

現に私はわざわざ雪山に行ってスキーやボードをしたいとは全く思わなかったです。

連れて行かれてスキーをするのが苦痛で仕方なかったです。ですから当然のようにスキーは上手くなりませんでした。

主体性を持って取り組まなければ何をやってもダメですよね。

受験シーズン真っただ中ですが、勉強だってやりなさいと言われて勉強しても身に付きませんし、「うちの子のやる気スイッチはどこにあるんでしょう?」と卒園児の母親からも良く耳にする言葉です。

なぜやる気になるまで時間が掛かるのか?

何のために勉強するのか分かっていないから。

高校受験のためとかそんなレベルの低い話ではないですよ。

自分で決めてこなかったから。

大人が勝手に決めてしまっていたから。

そうならないように、今「遊びを通じて学ぶ保育」に全力で取り組んでいます。

子どもたちの主体性を最優先し、自分で考え、自分で決める、大人は必要以上に手や口を出さない。

待つ、見守るを大切にする保育。

目の前の子どもを大切にしつつ、その子のために先を見通した保育。

少子化がいよいよ加速し、児童施設が淘汰される時代に入ります。

今まで以上に「保育の質」が問われる時代の幕開けです。

そのためには、子どもたち同様、私たちが主体性を持って「保育の質」を高めるために学ばなければならないと思います。

同時に、利用してくださっている保護者の皆さんへはもちろんですが、社会に向けて私たちが営んでいる教育・保育がどういう質のものなのか、しっかりと発信していかなければならないと思います。