第124回:なかまと共に

こひつじ保育園 福田恵嗣
イラスト:スケートボードをする男の子

暑い夏がようやく過ぎて、朝夕と涼しく過ごしやすくなりました。しかし夏の遊びをまだまだやりきれていないと言わんばかりに子どもたちは、体いっぱいに陽を浴びて泥んこになって駆け回って遊んでいます。春に比べて随分と体力がつき逞しくなり、小麦色に焼けた肌で元気いっぱい夏を満喫している姿が見えます。

さて、今年はオリンピックイヤーで色々な種目があり大会を沸かせてくれました。私は全種目を見ることはできませんでしたが、今回気になった種目はカルチャースポーツと言われたスケートボード。どの競技でも他の選手より良い結果を出して上位を目指すのですが、気になったシーンがありました。他の選手が最高のパフォーマンスを出すと、ともに歓喜の声を挙げライバルであろうとハイタッチやグータッチしている姿が画面越しに見えました。悔しがると思っていたのですが、外国人だからとか白人黒人と言った差別、裕福か貧困等の違いを超えて仲間というか家族のようでした。また華麗にスケートボードを乗りこなしていた選手が転倒してしまいメダルにあと一歩届かず、悔し涙を見せていた選手を笑顔にしたのはメダル争いをしたライバルたちでした。続々とライバルの選手たちが近寄り抱きしめ、肩に乗せて称賛したのです。思っていた結果にはならず泣いてしまった選手に寄り添い、自分のことのように辛さを分かち合っている姿に釘付けになりました。競技の結果だけでなく、そこに起こる競技者同士の思いやりがありました。

スケボー金メダリスト堀米選手の言葉で「やり続けているのは楽しいから。ただただ好きだから。楽しいと思えないと、やっている実感が得られないから」とコメントがあった。スポーツの語源はラテン語で気分転換、そこから古代フランス語のデスポッティ(楽しむ・遊ぶ)の意味になっているようです。運動や学ぶことは遊びの中から生まれ、楽しむことが大前提なのかなと考えさせられました。

もうすぐで秋になり各園でも運動会が近づいていると思います。勝ち負けだけではなく、みんなと楽しかった思える運動会になって欲しいと思っています。負けたとしても仲間がいれば励ましてくれたり、笑顔になれる勇気を与えてくれます。好きなものを楽しんで続けられるように見守っていきたいと思います。